2024年07月15日

電気事業法で義務付けられている年次点検とは?罰則についても解説

電気事業法で義務付けられている年次点検とは?罰則についても解説

電気事業を営んでいる企業だけでなく、電気工作物を使用している一般家庭にも関係してくる電気事業法。難しい言葉が沢山出てくるため、よく分からないという人もいるのではないでしょうか?

今回は、電気事業法とはどのような法律なのか、年次点検や罰則について分かりやすく解説していきます。

電気事業法とは?

電気事業法とは漏電火災など重大な事故を起こさないために定められた法律です。法律なので非常に細かい規定があります。大きく分類すると「電気事業」と「電気工作物」の2つにわけて規制が定められています。詳しくみていきましょう。

電気事業に関する規制

電気事業は5つに分類されています。

  • 発電事業
  • 送電事業
  • 小売電気事業
  • 一般送配電事業
  • 特定送配電事業

要約すると電気を発電、送電、販売、配電をする事業にわかれているということです。

電気事業を営む場合には、届け出の登録や申請をする義務があります。上記の「特定送配電事業」は届け出をすれば事業を行うことが出来ます。「小売電気事業」は届け出ではなく登録が必要になります。その他の「発電事業」「送電事業」「一般送配電事業」は、届け出・登録ではなく、許可が必要です。許可は電気事業法に基づき、基準が定められています。

届け出の基準が一番低く、審査は行わずに届け出書類を提出するだけで完了します。登録と許可には審査が行われます。事業を営む場合には上記規則に沿って正しく届け出、登録、許可を申請することが義務付けられています。

電気工作物に関する規制

電気工作物とは、具体的に以下のことをいいます。

  • 機械 器具
  • ダム
  • 水路
  • 貯水池
  • 無線路

発電や蓄電、送電など電気を使用するために設置されるもののことです。

電気工作物のなかで「事業用電気工作物」と「一般用電気工作物」にわかれています。具体的に、一般家庭や商店コンビニ等に設置されている、屋内配電盤や小出力の発電設備が「一般用電気工作物」です。電力会社や工場の発電所、変電所、送電線、配電線が「事業用電気工作物」です。

事業用工作物はさらに2種類に細分化され「自家用電気工作物」と「小規模事業用電気工作物」にわかれています。どの工作物も同様に、電気事業法で定められた技術基準を満たさなければなりません。

義務付けられている年次点検について解説

電気事業を営んでいる場合はもちろん、自家用電気工作物を設置している場合でも年次点検が義務付けられています。年次点検は、電気事業法に基づいて決められている点検で、必ず受ける必要のある点検です。年次点検は、原則1年に1度電気を全て停めて停電状態で点検を行います。そのため「停電年次点検」ともいわれています。

点検内容は以下の通りです。

  • 設置してある機械の目視点検
  • 絶縁抵抗の測定
  • 蓄電設備の測定
  • 電気系統から事故箇所を切り離すことが可能か点検
  • 非常用発電機を手動で起動・停止させる点検

電気を全て停止し、停電状態で点検をする必要があるため、製造ラインを停止することになってしまうなど、業務に支障をきたす場合があります。多くの業者は休日や早朝に実施をすることになるため、人員が必要になってしまう点検です。

しかし停電年次点検は、ある一定の条件をクリアすれば「無停電点検」というものに切り替えることが可能です。停電を伴う点検は3年に1度でいいという規定もあります。無停電点検の場合は電気を停める必要がないので業務中に行うことも可能です。無停電点検を実施できる基準も電気事業法で定められています。

電気事業法による罰則

電気事業法では規則を守らなかった場合にペナルティや罰則が科せられます。詳しくみていきましょう。電気事業法に反した場合に科せられるペナルティは「登録・許可の取り消し」と「刑事罰」があります。刑事罰については以下の通りです。

  • 無登録 無届け出営業:1年以下の懲役または、300万円以下の罰金
  • 無許可営業:3年以下の懲役または、300万円以下の罰金
  • 無届け出営業(特定供給):100万円以下の罰金
  • 届け出義務違反:10万円以下の過料
  • 技術基準適合命令違反:300万円以下の罰金

技術基準適合命令違反というのは、電気事業法で定められた年次点検を怠り事故が発生した場合に、科せられる罰則です。重大事故を起こして取り返しのつかないことが起きる前にしっかり点検をするようにしましょう。

まとめ

今回は電気事業法で定められている年次点検と、電気事業法に反した場合に科せられるペナルティと罰則について詳しく解説しました。電気事業法を営むにあたって登録、許可、届け出と事業形態によってそれぞれ必要な申請が必要です。また、年次点検を怠り電気事故を発生させた場合は、刑事罰が科せられることが分かりました。安全に電気を使用するための大切な法律ということです。年次点検は必ず実施するようにしましょう。

千葉県千葉市にあります「株式会社東葉テクノ」は電気設備工事を行っております。主に一般電気工事(学校、老人ホーム、病院、銀行、マンションなど)やリノベーション工事(改修工事)、受変電設備工事・電気土木工事を手掛けています。電気関係でお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。